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cicada3301
インターネット史上最も難解な暗号
cicada3301とは2012年から3度にわたって行われた、天才的な暗号パズルの総称、もしくはそれを行った組織または個人を指す言葉である。cicadaは英語でセミ、3301はメッセージの署名に使われている素数である。 「高度な知的能力を持つ人物」を探すため行われたとされるが、なぜそのような人物を探したのかはいまだ判っていない。
第一の暗号
2012年1月4日、アメリカの匿名掲示板4chanにてとある画像が投稿された。
「こんにちは。私たちは高い知的能力を持った人間を探しています。そんな人を見つけるためにある問題を考えました。
この画像にはメッセージが隠されています。
それを見つければ、私たちを見つけるための道しるべとなるでしょう。全ての道を踏破した人が現れることを期待しています。
幸運があらんことを。
3301」
早速回答者たちは文章の通りに、この画像から文章を取り出そうと試みる。デジタル画像からメッセージを取り出す方法はいくつもあるが、この画像に対しては「画像データ」を「テキストデータ」として読み替えることで、空白の部分にメッセージを発見することができた。その文章は
「クラウディウス・シーザー曰く”lxxt> 33m2mqkyv2gsq3q = w] O2ntk”」
というもの。回答者たちは「クラウディウス・シーザー」の部分に目をつけ、この文字列をシーザー暗号という方法で解読した。文字列を観察すると、最初の部分”lxxt>”の並びがURLの最初のスキーム”http:”と似ていたため(どちらも文字+同じ文字2連続+別の文字+記号となっている)、その分だけ他の文字列もずらすと何らかのURLが現れるに違いないと考えた。現れたURLにアクセスすると、
「おおっと。これは囮です。あなたはメッセージを見つけられなかったようですね。」
というメッセージの書かれた画像が……。もう一度別の方法を試すしかないのだろうか?
しかし、回答者たちはこの画像からも文章を取り出すことに成功する。上の文章の英語原文の”guess”と”out”という単語に目をつけて、”out guess”というステガノグラフィ―技術(画像全体から文章を読みだす技術)を用いたのだ。そして得られたのはブックコードとradditのとあるページ。radditのページにはいくつかの謎の文字列と画像が貼ってあった。まず画像をout guessにかけると以下のような文章が現れる。
「鍵は常に目の前にあります。
これは聖杯を探す旅ではありません。それより難しいです。
幸運があらんことを。
3301」
回答者たちは「鍵は常に目の前にある」というヒントからradditの文字列とヘッダーに注目する。ヘッダーには古代マヤ文明で使われていた20進数の数字だった。そしてそのページのタイトルは1~9の数字とa~jのアルファベットで構成されている。
これを10進法で読み替え、文字列をシーザー暗号の要領で解読すると、アーサー王伝説を暗号化、つまり「聖杯を探す旅を難しく」していたことが分かった。
先ほど得られたブックコードをアーサー王伝説で解読するとある電話番号に電話をかけるよう指示される。指示通り電話をかけると、「最初の画像から3つの素数を見つけ出し、その数字を掛けた数字に.comをつけたページにアクセスしろ」と指示が。3つの素数のうち一つは文中の3301、残り二つは何と縦横の画素数509と503であった。それらを掛けてページにアクセスすると蝉の画像とカウントダウンがあった。
カウントダウンが切れるとそこには座標が書かれており、その場所へ向かうとQRコードから次の問題がわかるようになっていた。その後はブックコードであったり、RSA暗号、音楽ファイルの解析など多様な暗号が待ち受けていた。
そして約一か月後、cicada3301はこのような文章と共に姿を消す。
「こんにちは。
求めていた個人は見つかりました。これにて一か月にわたる旅も終わりです。
今のところは。
あなた方の献身と努力に感謝します。もし今回のテストを完了できなかったり、メールが届かなかったりしたとしても絶望しないでください。
このような機会は増えるでしょう。
全てに感謝を。
3301」
第二の暗号
しかし、最初のメッセージから1年後の2013年1月4日、再びcicada3301が姿を現す。
「また会いましたね。優秀な人間の探索は今も続いています。
最初のヒントはこの画像の中に隠しました。
それを見つければ、私たちを見つけるための道しるべとなるでしょう。全ての道を踏破した人が現れることを期待しています。
幸運があらんことを。
3301」
早速ステガノグラフィ―で画像から文章を読み取ると、回答者たちはブックコードからDropbox、当時のTwitterアカウントと解読を進めていく。しかし、今回の暗号は前年と一味違い、非常に難しく共有しにくいものとなっていた。
そしてまた優秀な人材を発見したと思われるcicada3301はまたもや姿を消すこととなる。
第三の暗号
そして1年後、cicada3301は3度目の暗号を出題する。
「こんにちは。
ひらめきはあなた方にあります。あなた方の巡礼は始まっています。
啓蒙を待ってください。」
2度の訓練を積んだ回答者たちはステガノグラフィーやRSAなどの問題を難なく解き進める。
しかし、突如として何百万字もある謎の文字列が出現し、回答者は困惑した。シーザーや他の解読方法がうまく使えなかったからだ。様々な解読方法が試みられる中、ある回答者が解読に成功する。その回答者は文字列をAsciiコードに変換したのち、ビットを反転させた。すると「FF D8」で始まり「8D FF」で終わる文字列、つまりjpegのデータ構造と酷似した構造である。終わりの「8D FF」が始めの部分の鏡写しであったので、その文字列から二つのjpegデータが現れた。また始めのデータと後ろからのデータの間にももう一つデータがあったので、合計三枚のjpegデータを発見したのだ。
これこそが今もなお全容の解明されていない『Liber Primus』の最初の3ページである。
この画像をもとにまた様々な暗号を解いていき、最終的に表れたのは75枚。この本はルーン文字で書かれており、2013年からの第二の暗号で現れた表を用いて変換すると英文が現れた。また、その英文をゲマトリア式(数秘術と呼ばれる占いの法則の一つ)で変換するとそのすべてが素数、そのいくつかは回文素数(エマープ。逆から読んでも素数となる数のこと。例えば3301は素数だが、1033も素数である。)となるよう調節されていた。そんな神秘的な本を残したまま、2016年のメッセージを最後にcicada3301は現れていない。
考察
では、このような壮大な謎を出題したcicada3301とはいったい何で、その目的は何なのか。
ここからはcicada3301の特徴、その正体の噂をまとめていこうと思う。
まずはその特徴だが、その謎の節々に素数を入れていたり、マークにセミを用いたりなど自然科学に対する知識が深く、それを神秘的にとらえているであろうことが挙げられる。ちなみにセミには13年や17年周期で大量発生する種類がおり、「素数ゼミ」と呼ばれている。このことから特に数学に重きを置いていることがわかるだろう。
また、彼らは示した座標に行かなければ解けない暗号を作ったり、「共有するな」というメッセージを定期的に発信したり、現代の情報セキュリティの要であるRSA暗号を暗号に用いたりなど「情報の秘匿性」も命題としている。第三の暗号で現れた『Liber Primus』の中にも「すべての物は暗号化されるべきです。」という文章があった。これも彼らの中で重要な考え方なのだろう。
続いてcicada3301の正体についてだが、多くの場合、組織や団体であるという説が多い。一つにはCIAやMI6などが優秀な人材発掘を行っていたという説。他にはフリーメイソンやAnonymousなどの秘密結社説や金持ちの道楽説など様々挙がっている。そんな中、第一の暗号の最終問題を解いたという人間が届いたメールを公表する。
そのメールによるとcicada3301はハッカー集団でも犯罪者集団でもなく、プライバシーやセキュリティを研究開発している国際機関であり、プライバシーに配慮した製品を作ろうとしてふさわしい人間を探していたとのこと。このメールの真贋についてはわからない。しかし、第二の暗号の最終問題回答者も同じようなメールを受け取ったと言っているため、比較的信憑性はあるだろう。
また、2016年からcicada3301が現れなくなったのは「すべての物は暗号化されるべき」という彼らの考えが現実のものになり始めたからだとも考えられる。インターネットのスキームに使われていたhttpの規格は情報が暗号化されておらず、第三者に情報が奪われる可能性を持っていた。しかし、暗号化された規格であるhttpsが2016年には50%、現在では約80%のサイトに用いられている。2012年当時の30%弱と比べても情報の暗号化は非常に進んだ。彼らはその目的を達成して姿を現さなくなったのかもしれない。
情報化社会と呼ばれ、10年前とは比べ物にならない量の情報であふれかえる現在。それらすべては暗号化され外からは見れなくなっている。しかし今後、量子コンピューターをはじめとする超高性能計算機が登場してくると、暗号化のヴェールはあっけなくはがされてしまうかもしれない。きっとそのとき、かのセミはインターネットという土の中から現れるのだろう。
参考文献
・解説記事_Cicada3301 ねりもの。
https://note.com/g4nm0d0k1/n/n93614774ded7 2026/6/12閲覧
・Wikipedia シケイダ3301
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%83%803301 2026/6/12閲覧
・【ゆっくり解説】全ての謎を解いた人、0人。インターネットにおける最大の謎『cicada3301』
https://www.youtube.com/watch?v=Pi9U4AFefEQ&t=60s 2026/6/12閲覧
・【ゆっくり解説】新作です。『cicada3301』の本当の意味とは?名称の謎について解説
https://www.youtube.com/watch?v=unOJTznofUc 2026/6/12閲覧
・【ゆっくり解説】Cicada3301からの謎の本がついに解読。ようこそ巡礼者よ、すべての終わりに向かう偉大な旅へ。『LIBER PRIMUS』
https://www.youtube.com/watch?v=0dVN0KvwWoM 2026/6/12閲覧
上記3つ ゆっくり解説『不思議の雑学』
・奇書の世界史2 世界を動かす”もっとヤバい書物”の物語 著:三崎律日 発行:株式会社KADOKAWA
・世界の奇書をゆっくり解説 第14回 「Liber Primus/Cicada3301」 作者同上
https://www.youtube.com/watch?v=-83vs_Q6rRI 2026/6/12閲覧
・ついに正体が判明か!?インターネット最大のミステリー『Cicada3301』後編 世界の七不思議えむちゃんねる
https://mchan-nanafushigi.com/?p=138 2026/6/12閲覧
・Wikipedia HTTPS
https://ja.wikipedia.org/wiki/HTTPS 2026/6/12閲覧
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